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童謡の故郷を歩く

三木露風
赤とんぼの碑
龍野公園の入口にある三木露風の赤とんぼの碑からスタートです。この隣には露風の銅像が立っています。昭和40年この碑が完成する前年に、露風は晩年住んでいた東京三鷹で交通事故により76歳の生涯を閉じました。
露風はいうまでもなく明治末から大正昭和にかけて北原白秋と並び称され、白露時代を築いた象徴詩の巨峰です。白秋も童謡や唱歌を多く作っています。

@三木露風
「赤とんぼ」

童謡の小径のある白鷺山
赤とんぼの詩は、露風が北海道のトラピスト寺院に大正9年から4年間教職を得て過ごした時に作られました。5歳の時生き別れた母への慕情と生まれ育った故郷龍野への切々とした想いが込められています。後に東京で母と再会し、親孝行を尽くし母の臨終も看取り、母への思いは満たされることになりました。

矢野勘治顕彰碑

A「春爛漫の」
赤とんぼ碑から桜の見事な車道を上がり交差点の手前で無料の市民動物公園に入ります。ここに矢野勘治の頌徳碑(東大同級生で元首相吉田茂揮毫)を挟んで右「春爛漫の」碑、左「嗚呼玉杯に」碑が立っています。この二つの歌は矢野勘治が旧制第一高等学校時代に寮歌として作られ、瞬く間に全国の若人の愛唱歌になりました。勘治は東大卒業後、銀行勤めをし、晩年は龍野で過ごし、昭和36年82歳で没しました。

B「嗚呼玉杯に」

童謡の小径
西の入口

入ってすぐにきれいなトイレもあります

童謡の小径入口から哲学の道を見る

哲学の道から西の台山を望む

C内海青潮
「高嶺の花」
矢野勘治の碑のすぐ上は車道の十字路になっています。十字路を横断して哲学の道に入ります。すぐに左手に童謡の小径の入口が見えてきます。童謡の小径を登ってすぐ左に内海信之(青潮)「高嶺の花」碑とその子息内海繁の歌碑があります。内海青潮は与謝野鉄幹の新詩社に入り、後に犬養毅(木堂)に私淑し、人道主義・平和主義を称えました。

D内海繁

童謡の小径1
童謡の小径のある白鷺山はコバノミツバツツジが満開でその上に山桜が花を散らしていました。ちょっとしたハイキングコースみたいになっていて、花の間を登っていくとまずサトウハチローの「小さい秋見つけた」が現れます。昭和30年NHKが放送記念祭のために依頼しました。私は大人も子供も歌える歌しか作れないから、と断ってハチローが書いたのがこの歌です。

Eサトウハチロー
「小さい秋見つけた」

童謡の小径2
さらに花咲く小径を登っていくと妙な置物がある歌碑の前に出ました。題名を見ると「月の砂漠」です。なるほど木でできたフタコブラクダなんだ、と納得、子供が喜んでまたがりそうそうです。作詞した加藤まさをは大正中期から昭和初期にかけて活躍した抒情文人・画家で竹久夢二と同時代の人です。故郷の千葉県御宿の海岸の砂丘を想い浮かべて作ったそうです。

F加藤まさを
「月の沙漠」

童謡の小径3

童謡の小径4

童謡の小径5

童謡の小径6

G加藤省吾
「みかんの花咲く丘」
さらに上に登り丸太とロープで造られた西の展望台を過ぎると「みかんの花咲く丘」の碑があります。この歌は昭和21年8月24日加藤省吾が勤務先の雑誌の取材で、人気少女歌手川田正子のインタビューをしたとき、居合わせた作曲家の海沼実が、明日、NHKラジオが伊東の小学校と結んで二元放送する「空の劇場」で川田が歌う歌ができていないので書いてほしいと頼まれ、その場で30分ほどで書き上げたそうです。

童謡の小径7
展望台より

童謡の小径8
台山を望む
戦後の占領軍統治下の重苦しく物資不足の沈滞した日本人の心に、川田正子の明るくさわやかな「みかんの花咲く丘」は染み透り、空前の大ヒットとなったのです。
私も海の傍で育ちましたので、この歌が大好きです。どこか遠くへ行くのか船の汽笛がボーとなる度に故郷の情景とこの歌を思い出すのです。

童謡の小径9
展望台より

童謡の小径10
白鷺山頂
やがて白鷺山頂の展望台に登りつきます。北は桜やコバノミツバツツジの花の向こうに見える山は、相撲の神様・野見宿禰の墓と神社がある台山です。南には播州平野がはるかに広がっています。
この山頂には野口雨情「七つの子」のレリーフを組み合わせた「カラスの塔」があり、メロデイーに合わせてカラスがバタバタと動きます。

H野口雨情
「七つの子」

童謡の小径11
頂上広場

H野口雨情
「七つの子」

童謡の小径12

童謡の小径13

I清水かつら
「叱られて」
ここから下り坂です。レンギョウの花が明るく道を彩っています。ここに清水かつらの「叱られて」碑がありました。はじめて小学校でこの歌を歌ったとき、寂しさと怖さが入り混じったような気持ちになりました。むかしは夜は外灯はほとんどなく、夜のお使いで真っ暗な道中を歩くのは怖かったのです。

童謡の小径14

童謡の小径15
竜野市は童謡の里宣言をした頃に、「叱られて」の作曲者弘田龍太郎出身の高知県安芸市と同じように小京都と呼ばれ童謡の里といわれる縁で姉妹都市となりました。その安芸市から贈られたミツバツツジも見事に満開でした。
少し下ると東の展望台があります。見降ろせば揖保川が白く蛇行してかすかに見える?瀬戸内海へ続いています。

童謡の小径16

童謡の小径17
東展望台付近
展望台の下方に中村雨紅「夕焼け小焼け」碑があります。この歌詞は大正8年8月末に中村雨紅が夏休みを終え、実家から16Km(4里)歩いて八王子の駅に夕方着き、汽車待ちをしている間にできたそうです。雨紅が子供の頃母と一緒に駅から家へ歩いて帰るとき、歩き疲れた目に映った情景から歌は生まれました。がんばれ、もうすぐ家に着くよと、母の励ましの声が歌の背景にあったのですね。

J中村雨紅
「夕焼け小焼け」

K斉藤信夫
「里の秋」
さて、ゴールの赤とんぼ荘が見えてきた石段のところに斉藤信夫「里の秋」碑があります。この歌は出征した兵士の留守家族の父親を気遣う気持ちを歌ったものです。今は歌われなくなった3番、4番は戦争肯定の内容だったので、戦争終了の昭和20年暮12月戦地からの帰国者を励ますためにNHKが川田正子の歌で「里の秋」として放送したとき、作曲者海沼実の提案で3番は修正され、4番は切り捨てられ、大ヒット童謡となったのです。

童謡の小径18

童謡の小径
東入口

童謡の小径
東入口

国民宿舎
赤とんぼ荘

国民宿舎
赤とんぼ荘

哲学の道1
童謡の小径ゴールの赤とんぼ荘に着きました。縦走15分くらいです。赤とんぼ荘の前は車や観光バスで混雑していました。兵庫県で最初にできた国民宿舎赤とんぼ荘は人気度・客室稼働率で常に全国の国民宿舎の中でベスト10以内を誇っています。宿泊の予約はお早めに・・・。

哲学の道2

三木清顕彰碑
四角の碑は「哲学ノート」より怒りについて抜粋
さて帰りは哲学の道を通って帰ります。車道ですので気をつけて歩いていきます。5分も歩くと悲運の哲学者・三木清の顕彰碑があります。ハイデッガーの弟子で、その著書「哲学ノート」は戦前の学生のバイブルみたいなものでした。唯物史観に傾いた三木清は官憲に弾圧され、終戦直前に収監され、終戦の20年9月26日監獄の中で悲惨な病死、48歳でした。

L三木清歌碑

哲学の道3

哲学の道4

龍野公園

龍野公園

M犬養武・篤子
比翼歌碑
童謡の小径の入口を過ぎ、矢野勘治の碑のすぐ下に犬養武・篤子比翼歌碑があります。毎年皇居で行われる御歌会始めに武が昭和28年入選、妻の篤子が昭和31年入選した歌が比翼歌碑として刻まれています。武は関西学院英文科卒で、教職についた竜野高女や後に奉職した神戸山手短大でも女学生に評判がよかったそうです。

丘の上赤とんぼ荘

龍野城下町並み
龍野公園の動物園を下り、公園から帰り道を急ぎます。寅さんシリーズ中最高傑作といわれる17作目の「男はつらいよ夕焼け小焼け」の撮影現場となったあたりを抜けて、古い町並みを一路東へ進むとやがて揖保川に突き当たります。

龍野城下町並み

揖保川上流を遠望
帰りは上流に架かる人道橋を通り、ヒガシマル醤油の工場の横を通りぬけて、本竜野駅に到着です。15時半ころの一両のみの姫路行きの気動車で帰りました。

白鷺山の赤とんぼ荘

兵庫県たつの市  4月18日

文学の道に続く続編で、童謡の小径を歩きました。三木露風生誕地の竜野市は昭和59年に「童謡の里」宣言を行い、全国からあなたの選ぶ童謡を募集し、上位8曲を国民宿舎赤とんぼ荘西の白鷺山の尾根に石碑などを立て童謡の小径として整備しました。歌碑の前に立つとセンサーでメロデイーが流れます。三木露風の赤とんぼをはじめ私たちが幼い時から慣れ親しみ口ずさんできた歌ばかりです。

龍野市は今年、揖保川沿いの4つの市町村合併により「たつの市」となりました。そのため旧御津町の綾部山梅林もたつの市内となり、現在私が載せている旧御津町の綾部山や世界の梅公園へのHPリンクが繋がりません。たつの市の観光案内が整備され次第訂正をしたいと思います。


番号 名前 内容
@ 「赤とんぼ」

作詞
  三木露風
作曲
  山田耕作

 1. 夕焼け小焼けの赤とんぼ
                負われて見たのはいつの日か
 2. 山のはたけの桑の実を 
                小かごにつんだはまぼろしか
 3. 十五でねえやは嫁にゆき
                お里のたよりもたえはてた
 4. 夕焼け小焼けの赤とんぼ 
                とまっているよ竿のさき

A 「春爛漫の」

作詞
  矢野勘治
作曲
  豊原雄太郎

 1. 春爛漫の花の色 紫匂ふ雲間より
   紅深き朝日影 長閑けき光さし添へば
   鳥は囀り蝶は舞ひ 散り来る花も光あり

 2. 秋玲瓏の夕紅葉 山の端近くかぎろへる
   血汐の色の夕日影 岡の紅葉にうつろへば
   錦栄えある心地して 入相の鐘暮れて行く

 3. それ濁流に魚住まず 秀麗の地に健児あり
   勤倹尚武の旗の色 自治共同の笛の聲
   白雲なびく向陵に 籠るも久し十余年

 4.嗚呼衰へぬ東洋の 二千余載の君子國
   銀鞍白馬華を衒ひ 翠袖玉釵美をつくし
   栄華の夢をむさぼりて 文明の華に人酔へり

 5. 港を遠み夜はくらく さかまく怒涛の大洋に
   木の葉の如く漂へる 梶の緒絶えたる小舟すら
   遥かに見ゆる明星の 光に行手を定むなり

 6. 自治の光は常暗の 國をも照らす北斗星
   大和島根の人々の 心の梶を定むなり
   若し夫れ自治のあらずんば 此國民を如何にせむ
B 「嗚呼玉杯に」

作詞
  矢野勘治
作曲
  楠 正一

 1. 嗚呼玉杯に花うけて 緑酒に月の影宿し
   治安の夢に耽りたる 栄華の巷低く見て
   向ケ岡にそそりたつ 五寮の健児意気高し

 2. 芙蓉の雪の精をとり 芳野の花の華を奪い
   清き心の益良雄が 剣と筆とをとり持ちて
   一たび起たば何事か 人生の偉業成さざらん

 3. 濁れる海に漂える 我国民を救わんと
   逆巻く浪をかきわけて 自治の大船勇ましく
   尚武の風を帆にはらみ 船出せしより十二年

 4. 花咲き花はうつろいて 露おき露のひるがごと
   星霜移り人は去り 梶とる舟師(かこ)は変るとも
   我のる船は常えに 理想の自治に進むなり

 5. 行途(ゆくえ)を拒むものあらば 斬りて捨つるに何かある
   破邪の剣を抜き持ちて 舳(へさき)に立ちて我よべば
   魑魅魍魎も影ひそめ 金波銀波の海静か
C 「高嶺の花」

内海青潮

 何処より吹かれ来し一粒の種か 雲を抽く高嶺の巓 
                   鮮紅燃ゆる駒草の花
 風はその花をかすめて 遠く遠く吹き過ぐるに 
                   高うして孤独の寂しさあり
 日の光冴ゆれども無限の虚空濃青の深みゆ圧し来る
                   神秘の威力と大いなる畏怖よ
 身は卑くして想いのみ崇きに過ぐる悲哀か
                   たとしえもなきいのちの寂しさあり
 高嶺のいたただき風は寒し 巨巌のわれめに根を這わせ
                   澄みたる大気を吸いて
 生くる花よ 雪ただ白う 塵挨一つだになき
                   清浄の誇りもあれ
 人跡残さぬ絶境に 美よ優秀よの讃えも無う
                   珍の色香の艶なるにも
 小鳥も訪はず蝶も戯れず 空しく咲きては
                    枯るる花のいのち
 あゝあゝ駒草のびし細茎燃ゆる 鮮紅の花にもなほ
                    まとふは冷暗の影とにほい
 茲にして此の花をかすめ 寂黙みなぎる大天地の
                    いづこよりいづこへか
 長きに吹きわたる風の前に 孤高の生の
                    寂しさを訴えなやむ
D 内海 繁
 わがむねの おくがに銀河さえざえと
               ながれてあれよ いのち果つとも
E
「ちいさい秋みつけた」

作詞
  サトウ ハチロー
作曲
  中田 喜直

 1. 誰かさんが 誰かさんが 誰かさんがみつけた
   ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋みつけた
   目隠し鬼さん 手のなるほうへ
   すましたお耳にかすかにしみた
   呼んでる口笛もずの声
   ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋みつけた

 2. 誰かさんが 誰かさんが 誰かさんがみつけた
   ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋みつけた
   お部屋は北向きくもりのガラス
   うつろな目の色 溶かしたミルク
   わずかなすきから秋の風
   ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋みつけた

 3. 誰かさんが 誰かさんが 誰かさんがみつけた
   ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋みつけた
   昔々の風見の鶏の
   ぼやけた鶏冠にはぜの葉ひとつ
   はぜの葉赤くて入り日色
   ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋みつけた

F
「月の沙漠」

作詞
  加藤 まさお
作曲
  佐々木 すぐる


 1 月の沙漠を はるばると  旅の駱駝がゆきました
   金と銀との 置いて  二つならんで ゆきました

 2 金の鞍には 銀の(かめ)  銀の鞍には 金の甕
   二つの甕は それぞれに  で結んで ありました

 3 さきの鞍には 王子様  あとの鞍には お姫様
   乗った二人は おそろいの  白い上衣を 着てました

 4 広い沙漠を ひとすじに  二人はどこへ ゆくのでしょう
   にけぶる 月の夜を  (つい)の駱駝は とぼとぼと

   砂丘を越えて ゆきました
   黙って越えて ゆきました

G
「みかんの花咲く丘」

作詞
  加藤 省吾
作曲
  海沼  実

 1. みかんの花が 咲いている
   思い出の道 丘の道
   はるかに見える 青い海
   お船がとおく 霞(かす)んでる

 2. 黒い煙を はきながら
   お船はどこへ 行くのでしょう
   波に揺られて 島のかげ
   汽笛がぼうと 鳴りました

 3. 何時か来た丘 母さんと
   一緒に眺めた あの島よ
   今日もひとりで 見ていると
   やさしい母さん 思われる


H
「七つの子」

作詞
  野口 雨情
作曲
  本居 長世

  烏(からす) なぜ啼くの
  烏は山に 可愛い七つの 子があるからよ

  可愛い 可愛いと 烏は啼くの
  可愛い 可愛いと 啼くんだよ

  山の古巣に  いって見て御覧(ごらん)
  丸い眼(め)をした   いい子だよ

I
「叱られて」
作詞
  清水 かつら
作曲
  弘田 竜太郎


 1.叱られて 叱られて
   あの子は町まで お使いに
   この子は坊やを ねんねしな
   夕べさみしい 村はずれ
   こんときつねが なきゃせぬか

 2.叱られて 叱られて
   口には出さねど 目になみだ
   二人のお里は あの山を
   越えてあなたの 花のむら
   ほんに花見は いつのこと

J
「夕焼け小焼け」

作詞
  中村 雨紅
作曲
  草川  信

 1. 夕焼け小焼けで 日が暮れて
   山のお寺の 鐘が鳴る
   お手々つないで みな帰ろう
   からすといっしょに かえりましょ

 2. 子供が帰った 後からは
   まるい大きな お月さま
   小鳥が夢を 見るころは
   空にはきらきら 金の星

K
「里の秋」

作詞
  斉藤 信夫

作曲
  海沼  実


当初の詩の題名
「星月夜」

 1. しずかなしずかな 里の秋
   お背戸に木の実の 落ちる夜は
   ああ母さんと ただ二人
   栗の実煮てます いろりばた

 2. 明るい明るい 星の夜
   鳴き鳴き夜鴨の 渡る夜は
   ああ父さんの あの笑顔
   栗の実食べては 想いだす

 3. さよならさよなら 椰子の島
   お船に揺られて 帰られる
   ああ父さんよ ご無事でと
   今夜も母さんと 祈ります

L 三木 清  
 しんじつの 秋の日てれば せんねんに
                  心をこめて 歩まざらめや
M 犬養 武
 檣灯はなほ ともりつつ あさあけの
            うしほにのりて 舟いでむとす
M 犬養 篤子
 早春の 峠のみちは あかるくて
            もろ木の芽ふく 匂ひただよふ

歌碑の紹介

赤字は童謡のタイトルです。歌詞のゴチックも童謡です。

たつの文学の道へ