行き行けど、行方もわかぬ
木の下闇の何時(いつ)の日か
果つる日やある、昼ひそみ、
夜のみ歩む南溟(なんめい)の
ガダルカナルの森深し。


負い来し米はつきはてて
名も無き草を喰(くら)いつつ、
辿れる尾根や、断崖や、
つもる朽葉にふみまよい、
幾度まろびし、つまづきし。

靴は破れぬ、趾裂(あしさ)けぬ。
背のう遂に負いきれず、
装具もなべて捨てはてぬ。
抱くはわずか短剣と
菊の御紋のつきし銃。


泥にまみれつ、にじむ血に、
まくべき布もなくなりぬ。
血による蠅を追うことも
ものうくなりてたおれ伏し、
幾度自決を想いしか。


今日斃れんか、明日死すか。
重き務めのなかりせば
つとに死にたる身なりけん。
死なん命はやすけれど、
奮いたち生きてぞ行かん。

心はいたくはやれども、
飢えは激しく、道はなく、
創(きず)は痛みて刺すごとく、
遂にいつしか歯もかけて、
眼は夜みえずなりにけり。


仆(たお)れし戦友(とも)はいくたりぞ、
おのが身一つ、あるは這い、
あるは辛くも歩みつつ、
敵の背後をつきぬけて、
辿り来たりぬ、二十日。

はじめて見たる友軍の
嬉しさにただ泣けるにや。
否とよ光見ざる眼に、
あまりに強き砂浜の
椰子の並木を洩る光。


黙っていても 考えているのだ
俺が物言わぬからといって
壁と間違えるな
                 壺井繁治

アメリカフヨウ

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タイタンビスカス

タイタンビスカス

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「無名兵士の詩集」より

吉田嘉七(ガダルカナル戦詩集)

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8月2日

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7月30日 服部緑地公園にて

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ある挺身の兵の語る

アオイ科フヨウ属(ハイビスカス属)
原産地 北アメリカ中南部(アラバマ州)
宿根草 草丈1〜1.5m
花期 7月〜9月
アメリカで園芸種として大輪咲きに改良され、花色は赤・白・ピンクなどがあります。
フヨウ(芙蓉)は木ですが、アメリカフヨウは宿根草なので、別名クサフヨウとも言います。日本には昭和初期に渡来しました。
近年、アメリカフヨウとモミジアオイとの交配から、背丈が高いタイタンビスカスという丈夫な園芸種が作られ普及してきています。