わたしが 十歳のころ 地球は平らだった
地平線の果てまでも
麦穂が熟れて 橙色に輝いていた
森には 魔女が棲み 川には河童がいた
人々は 日照りに耐え 雨に心を奮い立たせた

わたしが 二十歳のころ 地球は丸かった
嵐に川は暴れ 崖崩れがそこここに起きた
人工の電子雲が襲い 大地はやけた
飢餓の中で 恵比寿講の夜だけ 新米を口に出来た

わたしが 三十歳のころ 地球は青いと聞いた
川にめだかが消え 故郷は工業団地化した
大きなデモや戦が飽きず繰り返され
その日のうちにテレビで流れた

わたしが 四十歳のころ 地球は熱く小さくなった
公害が続々と出て 虫も魚も人間の心も蝕まれた
日照りの熱気やオキシダントの中で 人々は営々と働いた

わたしが 五十歳のころ 地球はいよいよ小さくなった
川も海も瀕死になっていった
生きているものの恩恵を忘れてしまった人々が目覚め
「自然を守ろう いや開発で町おこしを」
そんな幟が林立し 怒声が交錯した

わたしが 還暦のころ 地球は無言になった
ボタン一つで百人力のロボット
科学の勝利だった
今の世代を作った責任は 私達だった
無言の地球
――地球は疾んでいるのだ――
仲間と語り合った
「生きることって もっと もっと
自然環境に敬虔であるべき……」

わたしが 百歳のころ 地球は軌道を回っていた
美しい太陽に輝きながら
春夏秋冬 光陰をめぐらせた

いのちを生み 生命を育てる地球
その深い慈悲の中で 
人々の営みは遷りながら
懐かしい方言や 訛りと共に
祖先の魂は
未来へ生き続ける


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7月26日

ナツシロギク(夏白菊)

キク科キク属  多年草(一年草)
原産地 西アジア〜バルカン半島
花期  6月〜7月 一重・八重咲き
園芸種名称 マトリカリア
ハーブ・薬用名称 フィーバーフユー
 古代ギリシャ時代から偏頭痛などへの薬効が知られ、ヨーロッパで広く薬用・ハーブとして栽培されてきました。観賞用としても花が少なくなる初夏から夏に咲く、爽やかな白色の花が好まれています。

京都植物園にて

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人生はまったくもって可笑(おか)しくて
眠っている間のしののめである

                 山崎方代

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地球の詩      廣川千鶴