素焼きの壺にらちもなく
投げては挿せど、百合の花
ひとり秀でて、清らかな
雪のひかりと白さとを
貴(あて)な金紗の匂(かぐ)わしい
ヴェルに隠す面(おも)ざしは、
二十歳ばかりのつつましい
そして気高い、やさがたの
侯爵(マルキイズ)夫人にもたとえよう。

とり合わせたる金連花、
麝香(じゃこう)なでしこ、鈴蘭は
そぞろがわしく手を伸べて、
宝石函の蓋をあけ、
黄金(きん)の腕環(うでわ)や、紫の
斑入(ふいいり)の玉の耳かざり
真珠の頸環(くびわ)、どの花も
熱い吐息を投げながら、
華奢と匂いを競いげに、
まばゆいばかりさし出せど、
あわれ、それ等の楽欲と
世の常の美を軽く見て、
わが侯爵夫人なにごとを、
いと深げにも、微笑むか。

花の秘密は知り難い。
けれど、百合をば見ていると、
わたしの心は涯(はて)もなく
拡がって行く、伸びてゆく。
我と、我身(わがみ)を抱くように
世界の人をひしと抱き、
熱と、涙とまごころの
中に一所に解け合って
生きたいような、清らかな
愛の心になって行く。


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カサブランカ

スターゲーザー

コンカドール

マルコポーロ

キッスプルーフ

7月2日

オリエンタル・ハイブリッド百合
(オリエンタルリリー)

アジアテイック・ハイブリッド系

カサブランカ    京都植物園にて

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百合の花   与謝野晶子

ユリ科ユリ属
園芸種 日本原産種から作出された
花期間 自然状態では7月〜8月上旬
 オリエンタルリリーの交配の親(原種)としてヤマユリ、タモトユリ、カノコユリなどがあります。
 ユリの中では最も花が大きく香りも強い。品種としては白花のカサブランカが突出して人気が高い。ピンク系のソルボンヌやシベリア、マルコポーロなども人気があります。

百合の園芸種の分類(英国王立園芸協会の分類)
  A.アジアティック・ハイブリッド(エゾスカシユリ、ヒメユリ、イトハユリ、オニユリなどが親)
  L.ロンギフローラム・ハイブリッド(テッポウユリ、タカサゴユリなどが親)
  M.マルタゴン・ハイブリッド(マルタゴンユリ、タケシマユリ、クルマユリなどが親)
  T.トランペット・ハイブリッド(リーガルリリー、キカノコユリ、ハカタユリなどが親)
  O.オリエンタル・ハイブリッド(ヤマユリ、カノコユリ、タモトユリなどが親)
  その他
    上記の交雑種など(LOハイブリッド、LAハイブリッド、TOハイブリッドなど)


東アジア原産のユリが元になった園芸種アジアテイック・ハイブリッドは多花で花色が多彩です。

淡路島海峡公園、河内長野花の文化園にて


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愛する―それはお互いに見つめあうことではなく、いっしょに同じ方向を見つめることである
             サン・テクジュペリ

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