しづかにきたる秋風の
西の海より吹き起こり
舞ひたちさわぐ白雲の
飛びて行くへも見ゆるかな

           暮影(ゆうかげ)高く秋は黄の
           桐の梢(こずえ)の琴の音に
           そのおとなひを聞くときは
           風のきたると知られけり

                      ゆふべ西風吹き落ちて
                      あさ秋の葉の窓に入り
                      あさ秋風の吹きよせて
                      ゆふべの鶉(うずら)巣に隠る

ふりさけ見れば青山も
色は紅葉に染めかへて
霜葉をかへす秋風の
窓の明鏡(かがみ)にあらはれぬ

           清(すず)しいかなや西風の
           まづ秋の葉を吹けるとき
           さびしいかなや秋風の
           かのもみぢ葉にきたるとき

                      道を伝ふる婆羅門の
                      西に東に散るごとく
                      吹き漂蕩(ただよは)す秋風に
                      飄(ひるがえ)り行く木の葉かな

朝羽(あさば)うちふる鷲鷹の
明闇(あけぐれ)天(そら)をゆくごとく
いたくも吹ける秋風の
羽に声あり力あり

          見ればかしこし西風の
          山の木の葉をはらふとき
          悲しいかなや秋風の
          秋の百葉(ももは)を落とすとき

                      人は利剣(つるぎ)を振へども
                      げにかぞふればかぎりあり
                      舌は時世(ときよ)をののしるも
                      声はたちまち滅ぶめり

高くも烈(はげ)し野も山も
息吹(いぶき)まどはす秋風よ
世をかれがれとなすまでは
吹きも休(や)むべきけはひなし

          ああうらさびし天地(あめつち)の
          壺の中(うち)なる秋の日や
          落葉と共に飄(ひるがえ)る
          風の行衛(ゆくえ)を誰か知る


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秋風の歌      島崎藤村


中山観音にて

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ジュウガツザクラ
花は半八重

フユザクラ
花は一重咲き


コブクザクラ
花は八重咲き

10月3日西宮緑化植物園にて

10月7日

ジュウガツザクラ(十月桜)

バラ科サクラ属
原産地 サクラ属は北半球温帯に分布
      花を観賞するものは日本が原産
花期 10月〜早春および春(3月〜4月上旬)
    花色は淡いピンクで半八重
コヒガンザクラの園芸種(エドヒガン系)
秋に咲くサクラは十月桜以外では、八重咲きのコブクザクラ(子福桜)と一重咲きのフユザクラ(冬桜)があります。


 おほぞらを
    びんびんと ひびいてゆかう

                  八木重吉

   9月23日
国営明石海峡公園